「壱岐七ふく神」はなぜ美味しい!?

リサーチ
きれいな海に囲まれた壱岐島。

玄界灘には大陸棚が広がっており、対馬海流が流れ込む世界有数の好漁場として知られている。そんな魚介類の宝庫でもある壱岐島で、「壱岐七ふく神」は陸上養殖施設で育てられている。

なぜ、陸上養殖施設で育てられた壱岐の「ふく」は美味しいのだろうか?

なかはら陸上養殖センター
今回はその秘密を勉強させていただくため、郷ノ浦町にある「なかはら陸上養殖センター」の場長、濱中さんにお話を伺いました。

――ここで『壱岐七ふく神』が育てられているんですね。世界初の技術と伺っているのですが、どういった技術で「ふぐ」は育てられているのでしょうか?

なかはら陸上養殖センター 場長の濵中さん

『壱岐七ふく神』 は、ふぐの王様と言われる「とらふぐ」なんです。

全国的には「ふぐ」は色んな呼び方がありますが、私たちは召し上がっていただいた方に幸福があるようにと、「ふぐ」のことを「ふく」と呼んでいます。

この飼育水の 中で『壱岐七ふく神』は生活していますが、この水に秘密があるんですよ。

――見た感じは普通の海水に見えますが、どんな秘密が?

ここに入っているのは実は海水ではありません。

壱岐の地下淡水と深層から汲み上げた地下海水をブレンドし、最新技術で調整された「水」が入っていて、「生態環境水」と呼びます。

「生態環境水」 は、一般的な哺乳類・魚類の体液の塩分濃度0.9%とほぼ同じの1.0%程度の塩分濃度になっています。

――哺乳類ということは、人間の体液とも同じということでしょうか?

そうですね。私たち人間の体液や羊水と同じ塩分濃度になります。

通常、海水魚は海水(3.5%)の塩分濃度の中で生活をしており、体液塩分濃度を調整するために、海水の塩分を浸透圧調整により、エラから排出していますが、この 「生態環境水」 の中では、そうした 体液浸透圧を調整するためのエネルギーを消耗せずに、ストレスフリーで成長することができるんです。

――海で優雅に泳いでいる魚たちも海で生きるために、実は苦労をしているんですね。

この水槽の中では快適に暮らしていると思います。

また、ブレンドする飼育水はボーリングにより、自然ろ過された海水と淡水を
混合しているので、病原菌や寄生虫の発生も防ぐことができます。

さらには地下水を使用することで、年間を通じて水温も20℃前後に一定に保つことができ、魚が生活しやすい代謝活性化水温である18℃~24℃を保つこともできるんです。

―― すごい!「生態環境水」 はまるで「神様の水」みたいですね。

こうして、『壱岐七ふく神』は、ストレスフリーで育つため、成長が早く、身も上質になるんです。

そのままでも淡白で歯ごたえがあって十分美味しいんですが、出荷前には『味上げ』という美味しさをアップさせる技術を施します。

――「味上げ」とはいったい?

出荷先の生簀は通常、海水であるため、出荷直前に海水に慣れさせるために海水で生活させるんですが、低塩分で育てられたふぐが海水に浸かると、アミノ酸が倍増し、旨味成分が上昇することが分かっています。

美味しいふぐがさらに美味しくなって『壱岐七ふく神』になるんですよ。

―― まさに「究極のふく」。

濵中さんのとてもわかりやすい説明と最新の養殖技術に感心しながら、施設内を見渡してみると、壁にたくさんのニッパーがかけてあるのに目が留まった。

――これは何のためのニッパーなんですか?

ふく同士の争いにより、ヒレや尾びれなどの噛み合いを少なくするため、「歯切り」をこのニッパーで稚魚の頃から成魚になるまで6回ほど行っています。


一尾ずつ、人の手で丁寧に歯切りを行なうんですが、 ふくの養殖で一番大変な作業なんですよ。 ふくに噛まれると大怪我するほど、強力な歯を持っていますしね。

お互い傷付け合うことなく、元気で立派なフグへ成長してもらうため、大変な作業なんですが、養殖には必要不可欠な作業なんです。

―― ニッコリ微笑む 濵中さんの笑顔がとても印象的だった。聞けば、水槽も食べ残しの餌などで汚れるので毎日清掃しているとのこと。

安心・安全なふくを提供するために、最新技術を下支えしている作業員皆さんの日々の細かな配慮が想像できた。

こうして壱岐島の新たなグルメ食材である『壱岐七ふく神』は、今日も私たちの胃袋まで届けられている。

「おいしさを創るのは、先端の設備・施設と情熱です。」

そう書かれたこの施設のパンフレットを濱中さんにいただいた。

「壱岐七ふく神」が育てられる背景には、世界初の最新技術のみならず、 稚魚から出荷するまで、万全の体制で育て上げる 作業員たちの愛情があることをこの施設で体感することができた。

養殖センター場を後にした私は、今、壱岐七ふく神祭りのパンフレットを手に、あの究極のふく「壱岐七ふく神」をどの宿でいただこうかと思案している。

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